こんにちは、眞鍋勝彦(まなべ かつひこ)といいます。
店舗デザイナーをやっていて、これまでに500店以上のお店づくりに関わってきました。
小さなカフェから大型のレストランまで、国内外いろんな現場を経験してきて、今も毎日、何かしらの図面と格闘しています。
このブログ【Omise Design】では、
飲食店の開業やリニューアルを考えている方に向けて、
“デザインのリアルな話”を、できるだけわかりやすく届けていけたらと思っています。
で、今回はその第1回。
まずはぼく自身のことを、少しだけお話させてください。
デザインの世界に足を踏み入れたのは18歳のとき。
当時はまだ右も左も分からないけれど、ただただ「何かをつくる」のが面白かった。
色を選ぶとか、素材を組み合わせるとか、形を整えるとか──
そういう感覚的な作業に夢中になっているうちに、気づけばいつの間にか、それが自分の「日常」になっていました。
そして19歳でパリに留学。
3年間、現地の空気を吸い込みながら、デザイン漬けの生活を送りました。
この経験が、今のぼくのデザイナーとしての土台になっています。
伝統を大切にしつつ、そこに“今”をどう重ねるか。
あの街で学んだバランス感覚は、「温故知新」という自分のデザインの軸につながっていきました。
本格的に“店舗デザイン”というジャンルにのめり込んだのは25歳のころ。
「空間」って、ただのハコじゃないんですよね。
誰かが集まって、会話して、何かを味わって、働く人もいて──
それぞれの立場や価値観でデザインや設備も変わってくる──
こんなにも難しくて、こんなにもおもしろいデザインはあるのかと──
そんな「場そのもの」をつくる仕事に、ものすごく惹かれていきました。
そこから今に至るまで、全国いろんな場所でお店づくりに携わってきました。
北海道から沖縄、さらには中国・フィリピン・ベトナム・韓国まで。
気づけば500店舗を超えるプロジェクトに関わらせてもらっていました。
ただ、ここまで順風満帆だったわけじゃありません。
独立したばかりの頃は、デザインの仕事だけじゃ食べていけなかったので、
飲食店、アパレル、美容室など、いろんな現場でアルバイトをしながら生活していました。
けど、今思えばあの時期がすごく大事だった。
実際に働いてたからこそ、
「提供の流れが詰まりやすいレイアウト」とか、
「お客さんが入りづらい入口」とか、
現場でしか気づけない“違和感”を身をもって知ることができたんです。
さらにいうと、初期のころは施工(工事)まで自分でやってました。
図面を描くだけじゃなくて、実際に現場に入って、
職人さんとやりとりして、工具持って作業して。
その中で「どうすればこのデザインがちゃんと空間として立ち上がるか」を身体で学びました。
頭だけで描いていたことが実際の施工では全然できなかったり、様々な予算があったりして。
結果、「店舗デザインは様々な知識がないとダメだな」と痛感することになります。
そういう積み重ねがあって、
私たちReplicaが長年積み重ねてきた経験や知識を、これから飲食店を始める方、あるいは改装やリニューアルを考えている方の手助けにしたいという思いからスタートしました。
飲食店づくりは、見た目の良さだけでなく、導線、集客、法令対応、そして限られた予算の中でのバランス感覚が求められます。
そうした複雑な条件を乗り越えるためには、現場を知っているプロの視点が不可欠です。
このブログでは、店舗デザインにまつわるノウハウや考え方を、できるだけわかりやすく、実用的にお届けしていきます。
最後にひとつだけ。
ぼくがこの仕事で大切にしてるのは、「デザイナーの想う、かっこいい空間をつくること」じゃないんです。
それよりも、お客さんが頭の中で思い描いているイメージを、
どうすれば一番いい形で実現できるか。
そのために、知識と経験をフル稼働させて、一緒に考えていくこと。
アーティストのようなデザイナーというより、伴走者みたいな存在でありたいなと思っています。
このブログも、そんな考えの延長です。
お店づくりの途中にちょっと立ち寄れる“道しるべ”のような場所になれたらうれしいです。
では、また別の記事で。